国産の組版専用システムの危機

私の職場では、Mac DTPのラインとWindows DTPのラインがある。広告代理店やいわゆるデザイン会社を別にすれば、他社でも大方のところでは同様だと思われる。
Illustratorは別にして、文字組用のアプリではMacの場合、QuarkXPressInDesignがほとんどだろう。国産のものは現在ではWindowsベースが多いと思うが、マシンとソフトが一体の専用組版システムの時代が長く続いた。
私の会社では、モトヤの専用システムを長らく使用してきた。XP版が登場するまではやはり一体のシステムであった。
モトヤに限らず、高価ではあるが日本の伝統的なルールに従って、大量のページもの組版を短期間に効率的に処理するためには、やむを得ないと考えられていた。また、クローズドなシステムであるが故にトータルなサポートを受けることができたことも大きな理由である。
しかしここ数年の流れを見ると、ソフト開発会社が営業譲渡したり、関連業者の傘下に入ったり、新たな開発をストップしたりと、ユーザーに不安を与える出来事が続いている。
先週末、とうとうモトヤからも残念な知らせが来た。Windowsの次期OS、Vista対応の開発を断念するという内容である。
OSの仕様が従来のものとあまりに異なり、旧バージョンのデータの互換性が取れない、という理由であった。
いつかは…、という予感があったので、「青天の霹靂」という思いはなかったが、少し早すぎた。
現状のシステムのサポートがすぐなくなるわけではないが、早々に次の手を考えなければならない状況である。(続く)