同僚の病

N君の見舞いに行ってきた。大学病院へ行くのは2回目だ。
頑健な身体を誇り、健康な日々を送っていたはずの彼の病が分かったのは昨年の夏頃だったか。
膵臓がんというやっかいなものだったが、当初は本人も病と闘う気力満々であった。医者も僅かな可能性に賭けていたのだろう。
入退院を繰り返していた中で、抗がん剤剤投与の日は無理だが、本人の強い意向で週に3〜4日は職場復帰を果たしていた。
バリバリの営業マンではあったが、この時期はもちろん内勤業務で営業サポートという役割が精一杯である。
だが9月後半で、それもあきらめなければならなくなった。覚悟を決めた入院である。
彼との出会いは、20数年前に遡る。我々は現在の職場の前の職場でも同僚だった時期があった。
数年の付き合いの後彼は今の職場に移り、全くの偶然であるが20数年後私が彼の後を追った形になった。
今年の我が社の営業成績は惨憺たる状態が続いている。すべてではないが、N営業課長の不在が一因であることは間違いない。
すでに医者からは見放されている模様。治療行為はなく、痛み止めの処方のみになっているようだ。
さすがに疲れ切った表情であったが、しっかりした対応をしてくれた。
私が彼にかけてやれる気の利いた言葉はない。ただ祈るだけだ。