N課長死す

11月30日、訃報が届いた。病状の悪化は数日前にも聞いていたので、覚悟はしていたが、とうとうこの日が来てしまった。
誰も予期せぬ突然の死も当然悲しいが、互いに承知しているこの最後の日を迎えるということは、うまく表現できないが異質な悲しみであり辛さであるような気がする。
1年数ヶ月に及ぶN君の闘病中の生き様には心から感服する。体調は当然良くない中、ぎりぎりまで職場に身を置いて、自分にできる仕事を探しやり続けた。終盤はすでに抗がん剤の投与を中止していたので、来るべき未来が読めていたはずだ。それなのにあの穏やかな表情は・・・・。
長い間付き合った同僚を永遠に失うという経験は、そう多くはないと思う。私たちはある意味で大切な勉強をさせてもらった。
病院のエレベーターのドアが閉じる直前に私が最後にかけた言葉は、「頑張れとは言わないよ。ボチボチやって・・・」だった。彼は笑みを返した。
何を「ボチボチ」すれば良いのだ。
N君、さようなら。