喪中のはがき(2)

S氏の奥様からはがきが届いた。S氏が亡くなった。92歳だった。
氏とは前の職場で数年一緒に過ごした。私が20代から30代にかけてのことだから相当古い話である。国鉄を退職した後に、経理・総務担当としてやって来た。年の離れた生意気な若造だった私にも気さくに声をかけてくれた。
氏を呼んだ社長が退任するとき共に退職したが、その後写真植字協同組合という団体の事務局長として社に社に出入りしていたので、結構長くお付き合いをしていた。
事務局を引退した後も、賀状のやり取りは続き、数年に1度くらいは顔を合わせる機会もあった。最後に姿を拝見したのは一昨年の夏頃だったか。藻岩山に行く途中の車から氏の姿を見かけた。声をかけそびれたが、元気そうな様子だった。
痩身であるが、実に元気な人だった。エレベーターには乗らず、階段を2段ずつ上ることを自らに課していた。
毎年新年に、力強い毛筆の賀状を見て安心していたが、残念ながらもうその機会はない。
心からご冥福を祈る。お疲れ様でした。